この記事は「データベーススペシャリスト資格に興味はあるが、どのようなものか?どう学ぶのか?」という方向けに、具体的な内容と私自身の挑戦ログをお伝えする。学び中の方や、これから学ぼうとされる方の参考になれば幸いだ。
今回は「関数の確認ドリル」について書く。
なお、SQL(データ分析)はあくまで目的を達成するための手段であり、そのような「データを用いた分析・検証」はふだんづかいしてこそ意味がある。そこで日常生活の事例についてデータを用いた考察をおこなってみる。
※注意点として、SQLはDBMSによって作法が異なる。この記事はGoogle Big Queryに準拠するものであることをお含みおき願いたい。
問題022(SQL 関数の確認ドリル)
問題文
- [sales]テーブルを対象に、商品ID(product_id)ごとの販売金額(revenue)を合計して「sum_revenue」というフィールド名で取得してください。
- 「sum_revenue」は百の位で四捨五入し、千円単位丸めて整数にしてください。
- 結果テーブルは「sum_revenue」の大きい順に5つに絞り込みます。
販売金額の合計(group by)
- salesテーブルにおいて、商品IDごとの販売金額を合計すると以下のとおり。
四捨五入(round)
- 「百の位で四捨五入して千円単位してください」とのことなので、round関数を使用
- round関数は、整数部で四捨五入する場合、引数にマイナスの値を取る。(以下、赤枠)
データ型の変換(cast)
- 「整数にしてください」とのことなので、cast関数を使用
- cast関数は、整数にしたい場合 as int64と記載(以下青枠)
並び替え、絞り込み(order by,limit)
- 「「sum_revenue」の大きい順に5つに絞り込みます」とのことなので、order by,limitを使用。
- 結果は以下のとおり。
データを用いた考察(労働時間や職務内容の改善)
問題の設定
- 私ごとで恐縮だが、私は今の企業に入社しておおむね勤続20年となる。この勤続年数が比較的めずらしい部類であることは、以前確認した(過去記事はこちら)。
- また、「勤続20年近いが仕事がキツいこともある。私は企業勤めを続けるべきか?」を例に考察し、結論は「給与・年金・退職金などの経済面では企業勤めが望ましい。ただし、自分の心身と家族のケアを第一に、労働時間や職務内容への主体的な改善取り組みが重要」となった。(過去記事はこちら)
- 今回は「労働時間や職務内容の改善」について具体的な方策を考えてみる。
目的の再定義
- 目的は「仕事を通じて幸せになること」
- 私にとっての幸せは「自分の健康が維持でき、家族との時間が持てる」「仕事を通じて社会貢献できる、またその実感が持てる」
- つまり、「労働時間に裁量があり、価値観に合った仕事ができる」ことが重要
考察の前提
- 経済コラムを鵜呑みにせず、自分の目でソースを確認し考えること。なぜなら、「経済学はきわめて限定的な場合にしか使えない」から。(よって大抵のコラムでは「”今のままでは”、確実に年金は破綻する」や「”この分析においては”、不景気の原因は、金融政策の失敗が原因と言える」など前提条件付きで表現していることが多い)
- 自分の目的に沿って、実体験も交え考えること。なぜなら、「そもそも経済とは価値交換により幸せになるためのシステムだが、幸せの定義は人それぞれ」だから。
マクロ動向の確認(①働き手減少)
- まず前提として抑えておくべきは今後数年の日本のマクロ動向。「①働き手減少」「②効率は変わらず」「③ITとグローバル化の進行で仕事は増える」の3点
- まず「①働き手減少」だが、少子高齢化にともない生産年齢人口(15~64歳)は減少する。高齢社会白書によれば、2020年の7,449万人から2025年には7,170万人、2030年には6,875万人となり、おおむね毎年60万人減少のペース予測。
(出所)内閣府「令和3年版高齢社会白書」
- 実際の働き手(労働力人口)は女性および高齢者が増加したことで2018年にピークを迎えた。とくに2018年は「配偶者控除を受けられる上限が103万から150万に増加」したことが大きい。
- ただし、前述のとおり生産年齢人口の減少ペースを考慮すると、今後減少傾向が予想される。
- 事実、労働力人口は2018年を境に減少傾向にあり、日本国の歴史上はじめての事態。
(出所)総務省統計局 労働力調査結果概要(リンク先)
マクロ動向の確認(②効率は変わらず)
- 次に「②効率は変わらず」だが、まず先進7か国(G7)のGDP推移は以下のとおり。
- これだけ見るとアメリカのみ順当に増加しているように見える。
(出所)IMF世界経済見通しデータベース(リンク先)
- しかし、10年単位でアメリカ以外の国を並べてみると以下のとおり。
- 日本(赤線)はほぼ横ばいだが、それ以外の国は約2倍近くに増加していることがわかる。
(出所)IMF世界経済見通しデータベース
- 日本のGDPが20年間増加しない点について、仮説はいくつもある。
- 個人的にしっくりくるのは「過去の成功モデル(工業化と大量生産×政府の財政政策×企業の終身雇用)で高度経済成長」⇒「過去モデルの成長が頭打ちも、変革のインセンティブがない」⇒「給料が上がらない」⇒「消費が増えない」⇒「GDPが伸びない」
- 補足。GDPは国内付加価値の総計。三面等価の原則により生産(付加価値)=分配(所得)=支出(需要)。日本の支出の6割は個人消費。よって消費が増えないとGDPは伸び辛い
- たとえ話だが、親が良かれと思って残した資産が、子の主体性を奪うようなものか。国連の幸福度ランキングで日本が低位な理由の一つが、この「自由度と自信の無さ」にあると考えている。
マクロ動向の確認(③ITとグローバル化)
- 最後にITとグローバル化の要点は2つ。1つめは仕事が純増すること。働き手が減少し、効率も変わらないままでは問題なので、生産性増加は進めざるを得ない。しかし「慣れてない×やったことがない」領域のため取り組み負荷が高く、成功率は低い。(予算・品質・納期について予定どおりにいかない失敗プロジェクトは増加傾向にある。詳細は企業IT動向調査の「IT基盤・システム開発」等参照(リンク先))
- また、現在の業務は万一にでも棄損できない(特に日本では)。つまり「①現在の業務+②新規の業務+③失敗のリカバリー」となり仕事は純増する。
- 一方で働き方改革が進む中、残業の強制やパワハラは即アウト事案。結果としてマネジメント層が仕事の引き取りを行っており、もはや昇進がインセンティブになり辛くなっている。
- 特に③はいわゆる「撤退戦」であり現場の指揮は最悪なので要注意。日本の残業文化は根深く、また協調性が重視されるのでこのパターンで主体的な早帰りは相当難しい。
- 2つめは今の仕事自体が将来なくなる可能性が高いこと。たとえばシステム領域であれば、従来は「日本特有のマイナールール×オンプレ(自前で作る)」で社内情報システム部の仕事があったが、現在はコスト効率化のため「グローバルルール×クラウドパッケージ」が主流だ。
- また事務領域であれば、従来は「ハンコと書類と複数の専門人材によるワークフロー」の仕事があったが、現在はコスト効率化のため「殆どIT,AIが処理し、例外のみ数人の専門家が処理」する方向にシフトしつつある。
- 重要なのは、今の仕事で頑張っても将来のスキルアップに繋がらない恐れがあることだ。「どんな仕事にも意味はある。与えられた仕事を精一杯やることだ」「会社に入ったからには、昇進のために一度本気で取り組んだらどうだろう」などは20~30年前であれば正論だったろうが、少なくとも2020年時点でファクトが揃った今、本当にそうか考え直す必要がある。
総括と戦略(一時)
- さて、あらためて今後数年の日本のマクロ動向として「①働き手減少」「②効率は変わらず」「③ITとグローバル化の進行で仕事は増える」の3点を確認した。
- ここから分かるのは、例えれば無思考で「何でもやります」だと、戦況が相当に悪い戦場に、旧式の武器と戦略のまま少人数部隊で放り込まれるリスクが高いということだ。
- 生還しても恐らく貰えるのは勲章(昇進もしくは新たな仕事)であり、具体的な報酬(スキルアップや給与の増加)は期待できない。(いずれ無くなる仕事なので、当然ではある)
- つまり「価値が感じづらい仕事に長時間拘束される」状況は、今まで見た通りマクロ動向による帰結なので個人の力で即時改善は難しい。よって早帰りしたいとき、「17時退社宣言」や「個人レベルの業務効率化」では焼け石に水となる懸念がある。
- そこで重要なのは、まず自分の心身について。働きすぎで心身のバランスがおかしいと思ったら、すぐに第三者(家族や医療機関)に相談すること。そして休暇や時短勤務など会社の制度を確認し利用すること。
- 次に家族のケアについて。育児休業・育児時短・介護時短などライフステージに応じた適切な期間で利用できる制度は最大限利用すること。
- 一貫して大事なのは、自分の心身と家族を最優先に考え、主体的に会社の制度を確認・使用すること。
- そのようにして自分の時間を確保したうえで、副業などにより「価値を感じられる、自分に裁量のある仕事」をとにかく始めてみて、少しづづ自信と確信を得る必要があるだろう。
- そのうえで、本業のジョブクラフティング(価値観に沿った見直し)や社内公募制度・業種変更(少しでも将来性があり、自分の価値観に合う仕事・働き方)など行い、無理なく自分らしい働き方を、主体的に進めていくことが重要になりそうだ。
- また、本業を縮小して副業にシフトしていくなら、その間の経済的な問題も解決する必要がある。手持ちの資産(現金や土地・家など)を洗い出し、最大限の有効活用も重要だ。
- まとめると、本業と副業のバランス見直し+手持ち資産の有効活用となる。
考察
- SQLについて。基本的なSQL関数について学習完了した。今回は「関数についての確認ドリル」を解いた。(グループ化、四捨五入、整数値への変換、並び替え)
- 考察。以前「勤続20年近いが仕事がキツいこともある」について「経済面では企業勤めが望ましいが、自分の心身と家族のケアを第一に、労働時間や職務内容への主体的な改善取り組みが重要」と結論づけた。今回は改善取り組みの具体的内容についてマクロ動向をふまえ考察した。
- 「価値が感じづらい仕事に長時間拘束される」リスクはマクロ動向(働き手減少、効率は変わらず、仕事は増える)により、個人レベルの解決は困難と再確認。よって例えば早帰りなら「17時退社宣言」でなく「育児時短制度使用」など踏み込むことが重要と認識できた。(詳細は記事ご参照)
考察のシンプル化と英訳(練習中)
- long working hours and worthless work are problems. I feel one of the causes is macroeconomic trends.
- (長時間で価値の無い仕事は問題です。原因の一つはマクロ動向だと思います)
参考書籍(該当箇所)
- 集中演習 SQL入門/木田和廣/株式会社インプレス(SQL確認ドリル)
- 父が娘に語る経済の話/ヤニス・バルファキス/ダイヤモンド社(考察の前提)
- ミクロ動機とマクロ行動/トーマス・シェリング/勁草書房(考察の前提)
- 10年後に食える仕事 食えない仕事/渡邉正裕/東洋経済新報社(マクロ動向全般)
- フィンランド人はなぜ午後4時に仕事が終わるのか/堀内都喜子/ポプラ新書(②効率は変わらず)
- 残業学/中原淳/光文社新書(③ITとグローバル化)
- 僕が18年勤めた会社を辞めた時、後悔した12のこと/和田一郎/バジリコ株式会社(③ITとグローバル化)
- 2025年日本経済再生戦略/成毛眞 冨山和彦/SB新書(考察の全般に影響)
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