この記事は「システムアーキテクト資格に興味はあるが、どのようなものか?どう学ぶのか?」という方向けに、具体的な内容と私自身の挑戦ログをお伝えする。学び中の方や、これから学ぼうとされる方の参考になれば幸いだ。
はじめに簡単な自己紹介をしておく。私は40代の会社員で本業はITコンサルタントだ。2019年にITストラテジスト、2021年にプロジェクトマネージャに合格した。高度IT資格の攻略法が見えてきたので、今回システムアーキテクトでも試す。
まだ合格していないタイミングで恐縮だが、挑戦ログは今しか書けないので、こうして記事にする次第だ。
システムアーキテクトとは何か(概要)
- どんな資格?国家高度IT資格。「業務とITのグランドデザイナー」の専門家であることの証明。経営者が大まかな方向性を出したあと、それをどうシステム構築するか。建築で言うところの設計士にあたる仕事。
- メリットは?この後、10年は学びと仕事に使える。メタバースやNFTはユーザーからは見えないが、無数のネットワークとコンピュータが必須。その組み合わせは大量で、「ユーザー満足度とコストの最適バランス」がサービスの良し悪しを決める。その心臓部を握るのがシステムアーテクト
- どんな試験構成?
- 午前1、午前2、午後1、午後2の4部構成。4部すべて合格することで資格取得
- 午前1は四択が30問。6割で合格(過去問の暗記勝負。学習目安は約300問)
- 午前2は四択が25問。6割で合格(過去問の暗記勝負。学習目安は約100問)
- 午後1は国語問題が2題。6割で合格(国語問題なので解き方を覚える。学習目安は約10題)
- 午後2は論文試験。評価Aで合格(文字で伝える面接。論文形式なのでコツの理解・ネタの準備・書く練習を)
システムアーキテクト挑戦ログ
全体の進捗
- 午前2は3ラリー目終了のうえ、もう1ラリー(ざっと)終了。あとは直前アウトプット(過去3年の過去問ベースでざっと確認)。前日に「ざっとラリー」「本試験の注意点」をおさらい
- 午後1は3ラリー目終了のうえ、もう1ラリー(ざっと)終了。アウトプット練習(まだ解いてない午後1過去問を4~5問続けてやって体になじませる)も終了。あとは直前アウトプット(過去3年の過去問ベースでざっと確認)。前日に「ざっとラリー」「本試験の注意点」をおさらい
- 午後2の論文試験はコツ・ネタ・ポイントおさらい(とくにツーウェイ添削で何を書いて、何を言われて、どう対処したか)は済。あとは直前アウトプット(手持ちの情報で過去問見て構成できそうか試す)。直前に「本試験の注意点」をおさらい
- それ以外の準備について。受験票が届いたので写真を貼る。当日のロジ回り(場所ふまえ何時頃出ればよいか)確認。前日は良く寝れるよう調整など
午前2 直前アウトプット
- 令和元年午前2の25問を実際に解く
- テキストにおいて、カテゴリ別に並べられた過去問は解いたが、本番同様の並びで解くことでも慣れておく
- 約半分は過去問の再掲なので焦らず対処。残りも少し考えれば選択肢を絞れる
- 結果として3問誤り。うち1問は問題文読み落とし。注意したい。以下、本試験の注意点
午前2 本試験の注意点
- 約5割の過去問の再掲は確実におさえること
- しかし、再掲でも選択肢の順が入れ替わったり、内容が少し変わる場合がある
- よって過去問の再掲こそ焦らず、じっくり暗記したキーワードに沿って回答
- 残り5割の新規問題も、少し考えれば選択肢を絞れるのであきらめないこと
午後1 直前アウトプット
- 令和元年午後1の問2を実際に解く
- ブログ記事にも記載のコツ通り対応。約20分で本文と設問を読み、答えのアテ付け終了
- 所々外し、5~6割の微妙な感覚。これは身に覚えがある。解き方が間違っている。
- 具体的に。「容器管理システムの開発」。業務フローは商品を準備し入庫・出庫・ピッキング・出荷の基本どおり。ただしひとひねりされていて、設問の中心は「商品を入れる容器」であるという点。なお、変更後のシステムフローは「タグをつけて容器がどこにあるか管理」が基本で、「ゲートアンテナでタグを読み込む」「業務フローの各工程でこのタグデータを更新」が追加となる。
- 設問1-1がいきなり「容器倉庫へ入庫可能な、容器の容器状態区分を全て答えよ」ときて一見難しい。だが、「全体の構成を見て」「ユーザーニーズに着目」すれば解ける。具体的に。「容器倉庫へ入庫可能」から現在の業務フローを見に行く。容器を回収して洗浄・点検したら容器倉庫に入庫とあるので、まずこれが1つ。次に「容器状態区分」を新の業務フローで更新してるので、それをざっと見ると容器の購入時もあるのでこれが1つ。
- 設問1-2は「どの容器が何個必要かを計算し」において使用する製品マスタのデータ情報を問う問題。もうこれだけで一見難しい。ここで焦らず、自分が分かる土俵に持っていく。具体的に。とにかくまずはユーザーニース(現行フロー)を見に行く。計算に関する補足情報がある。その次に製品マスタを見に行く。マスタという言葉に恐れず。(マスタ(情報テーブル)は集合であり関数。すなわち共通する要素をまとめたものであり、関数のように入力したものに対応した出力が出てくる。)「どの容器が」が容器種コード、「何個必要か」は容器一個あたり充填量を見ればよいとわかる。
- 設問2-1は「ゲートアンテナで容器を読み込んだとき、数の不一致が起きるケース」を聞くもの。これも設問だけ読むと「?」である。ここでも焦らず。業務フロー部分を見ると大まかな流れはわかる。今回設問を読み落とし、「ハンディ機器」での…が漏れていてこれは致命的。設問は下線を引きながら丁寧に読むべき。なお、これも「ユーザーニーズ」に着目すると、業者が容器の数を紙に書き、それをシステムで入力し、ゲートアンテナで確認…とわかるので答えは導ける。
- 設問2-2は容器回収後にハンディ機器で行う処理について。設問該当部分のすぐ前に「再利用できるように」とあるのでこれに注目。一番最初の状態に戻すということ。新業務フローの一番最初を見ると容器のキー項目をセットしている。そのうえでハンディ機器に関する記述を見ると、キー項目のクリアにはロック解除が必要なむね書いてあるので、「ロック解除してキー項目クリア」が正解。
- このように、「設問にしっかり線を引いて読み⇒システム的な表現に焦らず⇒ユーザーニーズに着目してヒントを探し⇒アテをつけた情報を簡潔な計算やシステム置き換え」という解答の流れを体感で掴み、実践して慣れるのが重要そうだ。
- これはシステムアーキテクトに求められるものとも一致する。「フロー全体を見て」「ユーザーニーズに着目し」「基本的な計算・判断で設計」
午後1 本試験の注意点
- 3問の中から2問選ぶときは、できるだけ得意分野で
- ぱっとわからないものは深追いしない。全体で6割取れればよい
- ただし何らか答えは書く。部分点がもらえるかもしれないため
- 繰り返しだが設問に注意。絞り込みのヒントであり、聞かれたことに答えるため
午後2 直前アウトプット
- 令和元年午後2の問2を実際に解く
- 概ね具体性・妥当性・充足性を満たすシナリオを約10分で作成できた
- あとは本文・設問に沿うことをわかりやすくアピールし、一部知識を盛り込めば良いか
午後2 本試験の注意点
- 2問の中から1問選ぶときは、できるだけ得意分野で
- 最低文字数ラインはかならず超える
- 知らない人に説明することをふまえ、シンプルでわかりやすい構成にする
システムとの付き合い方
- 振り返り①。ユーザーはより良いものを望む「人間」だ。コンピュータは一度作られた指示に従う「機械」だ。そこには大きく深いミゾがある。
- 振り返り②。ユーザーの「いま」と「ねがい」をしっかりくみ取って、「こたえ」を見つける必要がある。つまり中(コンピュータ)でなく、外(ユーザー)を見る
- 振り返り③。大事なのはやはりコミュニケーションスキル。 ただ、プログラミングやメタバースについて触りだけでも体験は必要。 若い人との会話を成り立たせるため。 プログラミングを必修で学び、アバターを遊びで作るスピード感には敵わないが、自分の興味分野を少しずつ進めることはできる。
- 振り返り④。個人でプログラミングをする際は、便利なツール(例えばノーコードツール)が多数あるのでそれらを最大限使い、まずはその範囲内でやってみる。ただ、「自分はもっとこうしたいのに」はネタとして書いておく。興味のきっかけになるため。
- 振り返り⑤。プログラミングやVRの基礎を体験したら「それを使って何がしたいか」のアイデア出しが大事。学ぶ意欲になるため。 メタバースの進化により「ドラえもんの秘密道具を考える」くらいの自由な発想ができる。 例えばどこでもドアをモチーフにしたVR旅行は商品化されている。
- 振り返り⑥。プログラミングやVRを使ったアイデアは、少し解像度を上げゴールをイメージするとよい。「どんな嬉しさを、誰に、どうやって届けるか(ベネフィット・ターゲット・差別化)」を元に「PR記事のように名前・できること・嬉しいことを簡潔に」する。複数アイデア・ゴールを出し、筋が良さそうなものがあればさらに進めていく。 個人ならばしがらみは少なく「とりあえず試す」がやりやすい。学びや作成のツールも豊富にある。 アイデアが成功するかは分からないが、苦労や失敗も含めて将来の成功の糧になるのは間違いない。
- 振り返り⑦。メタバースのアイデアを考えるうえでのポイント。「幸せや人生の意味」について。かつては「ヒトよりもっとすごいもの(神・宗教・国家)」。いまは「好きなように生きる(世界の制約の中で)」。これからは「なりたい自分で生きていく(場合により世界を作る)」。従来とは発想の大きさが違い、だからこそ面白い。
- 振り返り⑧。メタバースについて、「自分はどうありたいか」が重要になる。これからが始まりであり、一部のユーザで盛り上がり、だんだん社会に浸透し、そこから法整備が始まる。よって、今のうちに大きな考え方を抑え、実践・試行錯誤してみることは本当にメリットがある。
- 振り返り⑨。メタバースについて、イメージ図でアイデアを形にするのもおすすめ。例えばamazonフライホイールは円の中に「成長」、円の周囲に「訪問者」「出品者」「品揃え」「顧客体験」を書き、循環と成長が低コスト構造・低価格を実現するシンプルな図。
- メタバースについて。アイデアのPR記事やイメージ図が出来たら、やりたいことが見えてくる。自分がコントロール可能な目標を立ててとりかかり、小さな成功・循環を実感する。amazonフライホイール(の自分版)はどこから注力しても良いのでおすすめ。
参考書籍
- アマゾンの最強の働き方/コリン・ブライアー、ビル・カー/ダイヤモンド社
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