システムアーキテクト資格|2022年4月挑戦ログ 4月11日|システムとの付き合い方

高度IT・基礎知識

この記事は「システムアーキテクト資格に興味はあるが、どのようなものか?どう学ぶのか?」という方向けに、具体的な内容と私自身の挑戦ログをお伝えする。学び中の方や、これから学ぼうとされる方の参考になれば幸いだ。
はじめに簡単な自己紹介をしておく。私は40代の会社員で本業はITコンサルタントだ。2019年にITストラテジスト、2021年にプロジェクトマネージャに合格した。高度IT資格の攻略法が見えてきたので、今回システムアーキテクトでも試す。
まだ合格していないタイミングで恐縮だが、挑戦ログは今しか書けないので、こうして記事にする次第だ。

システムアーキテクトとは何か(概要)

  1. どんな資格?国家高度IT資格。「業務とITのグランドデザイナー」の専門家であることの証明。経営者が大まかな方向性を出したあと、それをどうシステム構築するか。建築で言うところの設計士にあたる仕事。
  2. メリットは?この後、10年は学びと仕事に使える。メタバースやNFTはユーザーからは見えないが、無数のネットワークとコンピュータが必須。その組み合わせは大量で、「ユーザー満足度とコストの最適バランス」がサービスの良し悪しを決める。その心臓部を握るのがシステムアーテクト
  3. どんな試験構成?
  • 午前1、午前2、午後1、午後2の4部構成4部すべて合格することで資格取得
  • 午前1は四択が30問。6割で合格(過去問の暗記勝負。学習目安は約300問)
  • 午前2は四択が25問。6割で合格(過去問の暗記勝負。学習目安は約100問)
  • 午後1は国語問題が2題。6割で合格(国語問題なので解き方を覚える。学習目安は約10題)
  • 午後2は論文試験。評価Aで合格(文字で伝える面接。論文形式なのでコツの理解・ネタの準備・書く練習を)

システムアーキテクト挑戦ログ

全体の進捗

  • 午前2は3ラリー目終了のうえ、もう1ラリー(ざっと)終了。あとは直前アウトプット(過去3年の過去問ベースでざっと確認)。前日に「ざっとラリー」「本試験の注意点」をおさらい
  • 午後1は3ラリー目終了のうえ、もう1ラリー(ざっと)終了。アウトプット練習(まだ解いてない午後1過去問を4~5問続けてやって体になじませる)も終了。あとは直前アウトプット(過去3年の過去問ベースでざっと確認)。前日に「ざっとラリー」「本試験の注意点」をおさらい
  • 午後2の論文試験はコツ・ネタ・ポイントおさらい(とくにツーウェイ添削で何を書いて、何を言われて、どう対処したか)は済。あとは直前アウトプット(手持ちの情報で過去問見て構成できそうか試す)。直前に「本試験の注意点」をおさらい
  • それ以外の準備について。受験票が届いたので写真を貼る。当日のロジ回り(場所ふまえ何時頃出ればよいか)確認。前日は良く寝れるよう調整など

午後2 試験のイメージ

午後2試験は「システムアーキテクトとして実際の成功体験を積んでいるか」を、論文を通じてあたかも面接のように受け答えするもの。イメージとしては以下の流れ

  • (面接官)こんにちは。
  • (あなた)こんにちは。
  • (面接官)システムアーキテクトを希望?
  • (あなた)はい。
  • (面接官)了解。それではまず、システムアーキテクトとしての「あるべき動き」を具体例で説明する。
  • ※ここで説明する内容が、問題文に該当
  • (面接官)以上。あなたも同じような経験があるだろうからそれを教えてほしい。まず、あなたがどのような方か、どんな背景(概要)を持つか教えてほしい。
  • (あなた)はい。私はXX業界XX社のシステムアーキテクト。概要は…
  • ※ここで説明する内容が、ヒアリングシート(別紙)と設問ア
  • (面接官)了解。それでは早速、経験を語ってほしい。
  • (あなた)はい。先ほど説明いただいた「あるべき動き」を経験し、成功している。例えば最初の「XXとすべきだ」について。私は~した。なぜなら~だ。具体的には~だ。次に…(事例の一つ一つについて具体的に説明していく)
  • ※ここで説明する内容が設問イ
  • (面接官)了解。最終的にどうなった?そのことをどう思う?
  • (あなた)はい。最終的に成功。~できた。これは〇〇の点で気を付けたから。なお、あえて言えば(他者から見ればささいな点だが、自分はもっと高みを目指すアピールで)この点を次は改善したい。
  • ※ここで説明する内容が設問ウ
  • (面接官)了解。結論として合格。理由として、「システムアーキテクトとしての役割をふまえ(妥当性)」「私の投げかけた話に沿って漏れなく(充足性)」「具体的に語ってくれた(具体性)」から。さらに嬉しかったのは「話の流れがシンプルでわかりやすく(論理性)」「あなたの考えもふんだんに盛り込んだ(独自の見解)」。これからシステムアーキテクトの役割はますます重要になる。よろしくお願いします。
  • (あなた)承知しました。ありがとうございました。

午後2 攻略のポイント

  1. 充足性・妥当性・具体性。本文・設問のフラグを全て回収し、システムアーキテクトの役割に沿って、具体的に書く。
  2. 充足性について。設問で聞かれたことを大見出しにして書き始め、本文の要求(お題)に合った内容にして、本文の事例(例えば…)も全て小見出し的に回収して書く。
  3. 妥当性について。システムアーキテクトの役割を意識して書く。すなわち大まかな方針(目的・制約・方法)の中で、ユーザーニーズを整理し、解決のための事務・システムをデザインすること。戦略・マネジメント・技術寄りにならないように注意。
  4. 具体性について。「(お題)について、私は(結論)した。なぜなら(理由)だからだ。具体的には(事例)だ。(結論)は大事だ」のように。いわゆるPREP法でわかりやすくアピール。数値や具体名称も入れると効果的

午後2 論文ネタと注意点(自己紹介部分)

  • 名称:銀行窓口における生命保険のペーパーレス申込システム ※どの業界のどんな仕事のためのシステムか簡潔に
  • 概要:私は大手生命保険会社のA社に所属するシステムアーキテクト。論述の対象とするのはA社が委託先の大手銀行B行の窓口で保険を販売してもらうためのシステム(以下、申込システムと言う)。申込システムは従来の書面による保険申込内容をタブレット上で入力するWEBシステム。 ※自己紹介、どの業界のどんな仕事のシステムか、構成を簡潔に
  • 制約:競争の激化に対応するため。2019年8月までに申込システム構築が必要 ※戦略や〆感。簡潔に
  • 業務要件:B行窓口に来訪した顧客が保険申込を希望した場合、B行行員がタブレットを用いて申込システムを起動。「申込情報の入力・顧客の意向確認・行員によるチェック」などの機能を用いる。99.99%の可用性・直感的でわかりやすい操作性・ユーザー操作後5秒以内のレスポンスを実現する性能。 ※いわゆる業務フロー、機能要件、非機能要件。お題によってはこのあたりを丁寧目に書く。
  • システム構成:B行タブレットからHTTPS通信してA社WEBサーバに接続して使用。A社内ではWEBサーバ、アプリケーションサーバ、DBサーバを用意。それぞれのOSとミドルウェアは、アプリはLINUXとTOMCAT。DBはLINUXとOracle。
  • 重要ポイント1つ目。文系には取っつきにくいが本資格の論述ではシステム構成の準備が必須。システムの設計士なので。書籍「おうちで学べるデータベースのきほん」あたりでイメージを掴み、自分の経験したプロジェクトの事例を調べておくとよい。
  • 重要ポイント2つ目。これ以降、与えられたお題に沿ってかなり具体的な論述に入る。そのとき対象のシステム範囲が広すぎると伝わらないので、語る範囲を絞るのがおすすめ。私の事例なら「お客様が申込情報を入力する機能(以下、申込機能)は機能全体の中でも半分以上を占める開発規模であるため重要なものである。以降はこの機能に絞って論述する」のように。
  • ここは大事なポイントであるが、一方時間をかけすぎると最後まで書けなくなる(設問ア~ウまで規定文字ライン超えないと問答無用で不合格)ので、十分に下準備し、本文と設問にあわせ速やかに書いてしまう事。

午後2 論文ネタと注意点(経験を語る部分)

  • お題と解答例:「ビジネス環境変化に伴う、業務内容の変化に対応するための、本番稼働後の改修を見越した拡張性について」⇒「保険市場競争の激化に伴い、取り扱い保険商品の変更による業務内容の変化に対応するため…」と続ける。 ※ポイントは徹底的にお題に合わせて、そのことを分かりやすくアピールすること。この例なら「業務内容の変化」のレベルまで合わせる。半分フィクションでもOK。最初のここがずれてると、以降何を書いても読んでもらえない懸念がある。
  • 事例と解答例:「システム設計段階でオブジェクト指向設計技法を活用…例えば…キーワードをいくつか」⇒「概念モデリングの技法を活用。ユーザーにもわかりやすく全体を俯瞰できるため。具体的にはユースケース図、概念機能モデル図」「コンポーネント化の技法を活用。後からの改修を効率的にするため。具体的には各画面のボタンやヘッダーなど共通要素をまとめてコンポーネントにする」「構造化設計の技法を活用。後からの改修を効率的にするため。具体的にはまず共通の基本構造をオブジェクトとして設計し、これをベースに各画面の独自要素をコーディング」「パラメータ化の技法を活用。後からの改修を効率的にするため。具体的には各商品ごとの背景色や言い回しを、商品ごとパラメータ設定で簡素に切り替え可能とする」 ※ここに挙げたのは事例。人間とコンピュータの溝を埋めるため先人が努力してきた知恵と工夫の結晶について、本質(いかにうまくユーザーと合意し、後からの手入れを楽に作るか)を把握し、自分の経験に沿って下準備しておき、上記ワードが出てきたら具体例として語れるようにしておきたい。全ての事例に対して漏らさず、徹底して合わせて自分の経験を解答し、そのことを分かりやすくアピールすること。
  • ここも勿論大事な部分だが、設問イの最低文字数ラインを越えたらまずウを書くのもおすすめ。ウも最低ライン超えないと合格できない。

午後2 論文ネタと注意点(結果の振り返りを語る部分)

  • 結果として成功したことを、お題のポイントに沿って漏らさず、具体数値も入れてわかりやすくアピール
  • 今回はうまくいったが、次はこうしたい…的なことを入れ、アジャイルや先端技術の活用など常に学び・向上し、貢献していくアピールを入れて〆。

システムとの付き合い方

  • 振り返り①。ユーザーはより良いものを望む「人間」だ。コンピュータは一度作られた指示に従う「機械」だ。そこには大きく深いミゾがある。
  • 振り返り②。ユーザーの「いま」と「ねがい」をしっかりくみ取って、「こたえ」を見つける必要がある。つまり中(コンピュータ)でなく、外(ユーザー)を見る
  • 振り返り③。大事なのはやはりコミュニケーションスキル。 ただ、プログラミングやメタバースについて触りだけでも体験は必要。 若い人との会話を成り立たせるため。 プログラミングを必修で学び、アバターを遊びで作るスピード感には敵わないが、自分の興味分野を少しずつ進めることはできる。
  • 振り返り④。個人でプログラミングをする際は、便利なツール(例えばノーコードツール)が多数あるのでそれらを最大限使い、まずはその範囲内でやってみる。ただ、「自分はもっとこうしたいのに」はネタとして書いておく。興味のきっかけになるため。
  • 振り返り⑤。プログラミングやVRの基礎を体験したら「それを使って何がしたいか」のアイデア出しが大事。学ぶ意欲になるため。 メタバースの進化により「ドラえもんの秘密道具を考える」くらいの自由な発想ができる。 例えばどこでもドアをモチーフにしたVR旅行は商品化されている。
  • 振り返り⑥。プログラミングやVRを使ったアイデアは、少し解像度を上げゴールをイメージするとよい。「どんな嬉しさを、誰に、どうやって届けるか(ベネフィット・ターゲット・差別化)」を元に「PR記事のように名前・できること・嬉しいことを簡潔に」する。複数アイデア・ゴールを出し、筋が良さそうなものがあればさらに進めていく。 個人ならばしがらみは少なく「とりあえず試す」がやりやすい。学びや作成のツールも豊富にある。 アイデアが成功するかは分からないが、苦労や失敗も含めて将来の成功の糧になるのは間違いない。
  • 振り返り⑦。メタバースのアイデアを考えるうえでのポイント。「幸せや人生の意味」について。かつては「ヒトよりもっとすごいもの(神・宗教・国家)」。いまは「好きなように生きる(世界の制約の中で)」。これからは「なりたい自分で生きていく(場合により世界を作る)」。従来とは発想の大きさが違い、だからこそ面白い。
  • 1周回って「自分はどうありたいか」「どのような世界が理想なのか」のような哲学が再興するかもしれない。まったくこれからが始まりであり、一部のユーザで盛り上がって、だんだん社会に浸透し、そこから法整備が始まる。よって、今のうちに大きな考え方を抑え、実践して自分のものにし、試行錯誤しやってみることは本当にメリットがある。

参考書籍

  • おうちで学べるデータベースのきほん/ミック,木村明治/翔泳社

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