この記事は「NFTに興味はあるが、面白いのか?どうやるのか?どのくらいかかるのか?」という方向けに、2022年3月最新の魅力と具体的な手順を金額付きで解説する。NFTの魅力がより多くの方に伝わり「やってみようかな」と思ってもらえれば幸いだ。
はじめに簡単な自己紹介をしておく。私は40代の会社員で本業はITコンサルタントだ。結婚してからはワークライフバランスを重視するようになり、「会社のためでなく、自分がしたいこと」にも時間を使うようになった。最近は「IT技術について幅広く学び、役立て方を分かりやすく伝える」ことが本当にやりたいことになり、今回NFTについてまとめ記事を書く次第だ。
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NFTの基本
まずはNFTの基本だが、これは多くの本・ブログに書かれているので既に知っている方は飛ばして頂いて構わない。基本を把握すると応用も理解しやすいため、以下要点のみ記載する。なお、特に重要なポイントは太字にした
- NFTはNon-Fungible Tokenの略で直訳すると非代替性トークン
- 根本にある技術はブロックチェーン
- よってNFTを分かりやすく言うと「(ブロックチェーンにより)一点もの(であることが担保された)デジタルデータ」
- デジタルデータであれば概ね売買可能なので、NFTの対象はアート、ゲームアイテム、仮想空間上の土地、音楽、ツイートなど幅広い。小学生が描いたデジタルアートが2021年9月時点で販売総額約4,000万円を超えるなど斬新なニュースも多い。
- 2015年に汎用プラットフォームであるイーサリアムが公開され、同年に暗号通貨の規格であるERC20が、2017年にNFTの規格であるERC721が公開された。これにより、より多くの人がブロックチェーンを使ったアプリを開発でき、異なる暗号通貨間の取引ができ、NFTを生成・売買できるようになった。
- 新しい技術なので課題は多い。例えばイーサリアムはERC20前の公開なので、2022年3月時点ではスマートコントラクト(個人間の金融取引)時にひと手間かかる(ERC20の規格でラップしたり、polygonなど別通貨に変換するなど)。また、ERC20にもいくつか問題もある。例えばコントラクトアドレスに送金すると了承されてしまうなどだ。そもそも、ブロックチェーン技術自体が一点ものを担保するのに「プルーフオブワーク(計算競争の勝者がデータ承認)」を採用している場合が多く、電力消費面で環境問題も懸念されている
- しかし、課題を解決するため次々と新しい手が打たれている。例えば2019年には新しい規格であるERC1155が公開されたり、電力消費が少ない「プルーフオブステーク(暗号資産を多く保有する人がデータ承認)」が検討されるなどだ。イーサリアムはこれら新しい要素を段階的に取り入れ、より便利で、より環境に優しい方法を模索している
- つまりNFTは比較的新しいものなので課題もあるが、それを解消すべく日々発展しているということだ
NFTの魅力
さて、ここが核心その1である。NFTを学び、実際に購入・生成した際に感じたNFTの魅力だ。
- 全く新しいワクワクする未来に向けて、日々発展していること
- 時間と距離を飛び越えて、いくつもの物語が生まれていること
- 「とりあえずやってみる」のがとても簡単であること
簡潔に説明する。
まず1について。NFTはDeFi(個人間金融取引)、メタバース(仮想空間)、デジタルツイン(現実世界を仮想空間に再現)など最新技術と極めて関わりが深い。例えばDeFiは金融取引において仲介を不要にする技術だが、発展すればモノの取引(カーシェアリングや宿泊)やスキルの取引(家庭教師や家事代行)にも応用され得る。また例えばNFTはゲームアイテムのやり取りのためメタバースと相性が良いが、仮想空間技術が発達しデジタルツインの精度が上がれば、地震予測などを仮想空間上で再現し、その結果をAI解析し現実空間の快適な暮らしに応用といったことも可能だ。つまりNFTは「より便利・手軽にモノやスキルのやり取りをしたり、より安全・安心な暮らしを提供する」未来に向けて大きく貢献する可能性が高く、そうであるが故に課題も多いが、解消するため日々発展しているということだ。
次に2について。NFTはスマートコントラクト(個人間のやり取り)なので物語が生まれやすい。例えば小学生のアートに魅力を感じた有名人が購入したり、クリエイター同士が二次創作としてコラボレーションし合って作品を交換するなどだ。これらは仲介者がいる場合、生まれることが難しい物語だろう(仲介者が小学生のアートや、コラボ作品に魅力を感じるか不明だからだ)。もちろんこのような物語は現実世界で直接取引する際にも発生する。しかしNFTが強烈なのは、「デジタルデータであるため、世界中の誰とでも、即座に『個人同士の物語』が生まれる」点だ。人間は繋がったときの安らぎや達成感に大きな幸せを感じる(脳科学的にはオキシトシン、ドーパミン)ので、その拡散力は極めて大きいといえる。
最後に3について。やり方は次のブロックで解説するが、私自身が「NFTってなんだか面白そう」と感じてから、実際にNFTを購入し、制作・販売開始するまでに要した時間はたった6日である。具体的には2022年3月16日(水曜)から3月21日(月曜)だ。しかも本業・家事育児と並行しているので、1日1時間程度しか関わっていない。そのうえ、後述するが手数料は総額でわずか1万円程である。別途NFTを購入する際に1万円使ったが、全部あわせても2万円だ。わずか6~7時間・2万円の投資で、ここまで濃密な体験をすることはできるだろうか?40代になるまでなかなかお目にかかったことはない。ただし念のため補足するが、これは私が「一番最初の購入と販売開始までにかかった費用」であり、当然ながら今後売買する規模によって金額は増加する旨ご注意いただきたい。
NFT購入・販売の手順
さて、ここが核心その2である。NFTを実際に購入し、制作・販売開始するまでの具体的な手順だ。多くの方は「いつ、いくらくらいかかるのか?」が気になると思うので、その点を中心に書く。
- 資金準備。①銀行預金口座から暗号通貨取引所(以下、私の例でコインチェックと記載)に送金。②コインチェックで仮想通貨(イーサリアム、以下ETHと記載)を購入。③ETHを個人売買用の財布(以下、私の例でメタマスクのウォレットと記載)に送金
- 販売準備。①デジタルデータを作成する(以下、私の例でデジタルアート)。②個人売買用の市場プラットフォーム(以下、私の例でOpenSeaと記載)にアップロード、データをNFTに変換。③販売
- 購入。①OpenSeaで欲しい作品を表示。②メタマスクのウォレットにあるETHを使い購入
まず1-①について。まずコインチェックの口座を開設。スマホアプリで行えば早ければ1時間程で完了。次に銀行預金口座からコインチェックの口座へ送金。ここで送金手数料が約1,000円かかった。なお、送金方法は銀行振込・コンビニ入金・クイック入金から選べる。なるべく早くNFTを売買したいなら、銀行振込かつインターネットバンキングの即日振込をおすすめする。クイック入金は即時送金できるが、その後メタマスクのウォレットに送金できるようになるまで7日かかるからだ(マネロン防止の観点らしい)。私はたまたま、三菱UFJダイレクトが住信SBIへの銀行振込(即時送金)を扱っていたので最終的にそちらを使用した。
次に1-②について。コインチェックでETHを購入。ETHの価格は日々変動していることと、実質的な手数料としてスプレッドがかかることに注意(私は一旦約3万円で約0.082ETH購入した。純粋な交換レートより若干少ない購入量だが、その差額は手数料(スプレッド)だ)。コインチェックの「販売所」機能を利用。販売する暗号通貨からETHを選択し数量指定して購入。なお、ETCは別物なので注意。
最後に1-③について。まずメタマスクのウォレットを用意。ここは詐欺が非常に発生しやすいところなので、「PCブラウザのアドオンをインストールする際はメタマスクのURLを手打ちすること」「ウォレットのバックアップフレーズは絶対他人に教えず、また自身も忘れないよう紙に書いて保管(できれば複数)」は特に注意したい。次にETHをメタマスクのウォレットに送金する。ここで0.0005ETHの手数料がかかる。
さて、次は2の販売準備だ。まず2-①について、デジタルデータを作成する。私は後述の書籍を参考に、まず作成するモチーフを「サボテンのシンプルな24×24ピクセルドットアート」と決め、次にフリーのドット絵描画ソフト(使いやすさとレイヤ管理ができることからPCのedgeというソフトを選んだ)で24×24ピクセルで生成。最後にOpenSeaでアップロードするため、Windows標準のペイントで1008×1008ピクセルに拡大した。
次に2-②について、OpenSeaとメタマスクのウォレットを紐づけ、OpenSeaでプロフィールとコレクションを作成し、アップロードする。その後NFTに変換(Mint)する。より具体的な手順は後述の書籍のほうがはるかに詳しいのでご参照願いたい。なお、データを作成・アップロード・NFTに変換するまでは手数料はかからない。
最後に2-③について、販売にあたってはETHを使うかpolygonを使うか選択できる。私はETHを選択したのでその例で記載する(詳しい説明は省くが、polygonは販売のガス代(手数料のようなもの)はかからないがETHとの変換でガス代が発生する)。ETHで販売する場合は、初回の出品に限りガス代がかかる。私の場合、ガス代が安い時間帯を狙った結果0.006ETHかかった。なお、ガス代とはブロックチェーン上の認証作業(マイニング)やスマートコントラクトにかかる手数料のようなものだ。ガスリミット(要求処理速度)とガスプライス(込み具合により変動する単価)で決まる。ガスリミットは下手にいじらないほうが良い(下げると処理が終わらないリスクがある)ので、GasNowなどウェブツールを使って傾向を把握し、ガスプライスが安いタイミングを狙うのがよい。なお、実際にETHで2作目以降の作品を出品する際はガス代がかからなかったことを補足しておく。(ただし、メタマスクのアカウントを変えたなどの場合は再度ガス代はかかるようだ)
さて、最後は3の購入だ。まず3-①の作品表示について、既にTwitterなどで購入したい方が決まっている場合は、その方のOpenSeaへのリンクを利用するのが確実だ。特に有名な方の場合、OpenSeaの検索ヒット内にニセサイトが混在している懸念があるためだ。次に3-②の購入について、定額購入・オファー(買取金額を提示)・オークションの3種類がある。私は初の購入をオファーで行ったためその例で記載する。まず購入したい商品にオファーをする。この際にオファーに必要な金額分だけ、手持ちのETHをpolygonに変換する必要があり、その際にガス代がかかる。私は最初に0.01ETHをオファー用に変換し、ガス代が安い時間帯を狙った結果別途約0.006ETHかかった。(変換の理由は前述のNFTの基本に書いたが、ETH自体はスマートコントラクトに非対応なためオファーなどのやり取りにあたり他通貨にブリッジする必要があるためと予測)さて、手持ちのオファー用polygon(紫のETH)の範囲内、つまり0.01ETHで他の作品をオファーしたところ、それは手数料がかからなかった。しかし、この後他の方がさらに高額のオファーをされた(当然、人気のある方はそうなる。なお、最も高額のオファーをしたら受理されるわけではなく、売り手が売りたい方を好きに選べるのも魅力である)ので、さらに0.02ETHをオファー用に上乗せ変換することにしたのだが、この際はガス第がまた約0.006ETHかかったことを補足しておく。最終的に0.03ETHでオファーを受理いただいた。3月21日夜のことである。
さて、以上のやり取りでかかったコストは総額以下となる。
- 送金手数料約1,000円
- ETH購入時のスプレッド
- 「メタマスクへの送金」、「販売手数料(作品の初回販売)」、「購入手数料(オファー用の変換を2回分)」等のガス代、合計約0.0185ETH
- 作品のオファー購入代0.03ETH
元々手元に31,000円用意し、最終的に約0.029ETH(1ETH約35万のレートなら約1万円)残っているので、非常に大まかではあるが手数料約1万円、購入に約1万円かかったという記録になる。
なお、私が実際に作成したNFTはこちらだ。絵心が全くなく拙い出来で恐縮だが、ひとつのイメージとしてご参考願いたい。
参考書籍
NFT入門 著者:石坂勇三 発行:イーストプレス
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